600枚書いて「何でこんなものを書いちまったんだ!」池井戸潤ってどんな作家?

「下町ロケット」「半沢直樹」「陸王」
そして、「ノーサイド」。

2019年9月20日から11月2日に開催されるラグビーのワールドカップですが、
ラグビーファンや関係者には申し訳ないのですが、ラグビーにはあまり興味がありません。

しかし、テレビ番組『ノーサイド』は毎回見ています。どうなっていくのか、(結果はたぶんですが)わかっているのですが『半沢直樹』のような倍返しがいずれ訪れ、それが見たいからです。

『週刊現代』池井戸潤のインタビュー

そして、今週の『週刊現代』に2ページですが、池井戸潤氏のインタビュー記事が出ていました。面白いことがぎっしり詰まっていました。

『週刊現代』池井戸潤のインタビュー

「素人の視点」の大切さ。

「彼(君嶋)のような素人のGMは、実際には存在するのでしょうか?」
まずないでしょっね。GMは現場で指揮を執るポジションですから、ラグビー部出身などの経験者が就いています。
(主人公)君嶋を素人の設定にしたのは、ひとえに小説を読みやすくするためです。ラグビーは、一般的にはわかりづらい。ルールは難しいし、試合を見ていてもよくわかりません。そんな物語を読み進めていくために、多くの読者と同じ素人の視点というのは効果的なんじゃないかと考えたんです。

この「素人の視点」って、すごいですよね。
また、7月28日の放送の時だったと思いますが、ファンを増やすためのの「地域ボランティアなどやっている時間はない、練習に打ち込みたい!」と部員から反対される君嶋。

また、ラグビー協会の会議で、観客を増やす施策を話し合いたいと提議した君嶋を、
ラグビーのスポーツマンシップの神聖さから
「そんなこと(お金)は、どうでもいい」と一蹴したラグビー協会トップ。それに追随する関係者一同。

「ラクビーだけが神聖なわけじゃない、時代遅れじゃない?」
と、思いました。

「one for all. all for one.」は日本だけ!

それについても、池井戸潤氏はインタビューでこう答えています。

「ラグビーは真のスボーツマンシッブに基づく神聖な球技だから特別なのだという運営側の認識が書かれていますが」

独特の気高さをまとつていますよね。でも、それは今やほぼ日本だけの特異なカルチャーであるような気がします。タイトルにも使った有名な「ノーサイド」や、ラグビーの精神を語るときに必ず謳われる「one for all. all for one.」というフレーズも、海外ではラグビー用語としてはほとんど使われていないそうですし。
僕の作品にしても、当初はもっと単純なラグビー礼賛小説になる予定でした。しかし、書き進めるにつれ「これじゃダメじゃないか」という気持ちが湧いて、原稿用紙600枚ほど書いたところで、一度捨てたんです。これは単純に礼賛できる世界ではないな、と。

「敵として立ちはだかる上司たちも、それぞれに抱える背景や懊悩(おうのう)が細やかに描かれ、つい感情移入してしまいます」

バックボーンの部分を書かないと、読者がついてこられないんですよね。小説は人間を書くものだから、キャラクターの心の動きが納得できないと読み進められない。決められたプロツトの上を踊る人形のような人物ではなく、ひとりひとりをちゃんと生きている人間として書く。物語の説得カはそうやって積み上がっていくものだと思っています。
(このことは、池井戸潤氏かなり前から気づいていたようです。下のリンク「『編集会議』秋号2011.09.29」抜粋を参照)

「全身全霊で役に取り組む」
大泉洋のコメントに奮起した池井戸潤

「大泉洋さん主演でドラマの放映も始まりました。「下町ロケツト」「半沢直樹」「陸王」と、日曜夜の池井戸作品は娯楽の定番になりつつありますが、映像化が執筆を後押しするという面もあるのでしょうか」

今回、一旦ポツにして嫌気がさしていた頃に、主演の大泉さんから「全身全霊で役に取り組む」というコメントが出たので、「こりゃちゃんとしたものを書かないとダメだな」と(笑)。彼の君嶋は、真面目に演じていてもどこか力の抜けたおかしみがありますね。視聴者の反応も含め毎回、楽しみに観ています。

こんな池井戸潤氏だか、「逆境に強い方ですか」という質問にこう答えています。

だいたいいつも逆境ですからね。順境にいたことなんてないですよ。いつもギリギリの、それこそ「絶対に負けられない闘い」の連続です。(中略)
読者はページをめくればストーリーが進んでいきますが、作者は次を自分で考えなくちゃいけない。

池井戸潤氏、順風満帆だと思いきや「ギリギリ」なんだそうです。

池井戸潤という作家を知ったのは、
本の『下町ロケット』からでした。

本を読んで、Facebookに投稿しました。

(Facebook2011年9月6日)
『下町ロケット』小学館 1,700円+税
色々な書評に違わず、素晴らしい感動!を与えてくれます。
次々に起こる困難にどうなるの?意表をつく決断、
と、ついつい読んでしまいます。
最後では、その場にいるように〈熱い思い〉が湧いてきます。
感動!夢!を、青臭く語り合いたい。
そして、自分品質、自分プライドを自らに問いたい。

テレビ番組があったのが、2015年。12月20日が最終回でした。

(Facebook2015年12月21日)
TV「下町ロケット」昨日が最終回でした。良かったです。
分かっていても、この手にはやられてしまいます。
この投稿によると、原作を読んだのが2011年9月だった。
続編はまだ読んでいませんが、もうお腹いっぱいかな。

この投稿に、ある友達がコメントで紹介してくれたのが次の記事です。

「一流の書き手を目指すなら、仕事を頼まれる理由を持つこと」
――直木賞作家・池井戸潤氏に聞く(『編集会議』秋号2011.09.29より)

ただ、このやり方だと、どうしても予定調和というか、人物に深みが出ない。作家の立てたプロットに沿って、都合良く登場人物を動かしたり発言させてしまう。ここに読者がギャップを感じると、物語に感情移入できなくなるんです。だからあえて、プロットに縛られない書き方を試したんです。

『BT’63』を書いてる時に何となく気づいて、『シャイロックの子供たち』では気づいたことを実際に小説にしてみた。書く段階で登場人物の心情になって行動し発言するんです。『空飛ぶタイヤ』では細かいことはほとんど決めずに、登場人物に任せるつもりで物語を進めていったんです。 1000枚を超える小説で失敗したら大変なので、すごく勇気のいることでした。

結果的に、作品の中に登場人物それぞれの伝記が流れているような人間ドラマを描くことが出来ました。 まさしく『下町ロケット』の原点となる書き方です。

終わりに。池井戸潤は別腹?

池井戸潤はもうお腹いっぱいなのに、「ノーサイド」は最後まで見てしまいます!池井戸潤氏のドラマは女の子のケーキと同じで、いくらでも別腹で見てしまいます。でも、もう本は読まないです。

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