今週の『日経おとなのOFF』見た?中野京子「怖い絵」世界史が分かる?

西洋史の「怖さ」がグイグイ分かる!10枚

絵か描かれた意図や背景を知っていれば、絵を見る面白さは倍増。王や注文主が命じて描かせた絵や、画家が事件を見聞きした驚きや恐れを込めた絵からは、先人連の息遣いが聞こえてくる。歴史のうねりを感じる10枚を、中野京子さんに選んでもらった。

『アレクサンドロスの戦い』アルブレヒト・アルトドルファー
『ヘンリ−8世像』ハンス・ホルバイン
『レディ・ジェーン・グレイの処刑』ポール・ドラローシュ
『絞首台の上のかささぎ』ピーテル・ブリューゲル(父)
『イワン雷帝とその息子』入りや・レーピン
『マリー・ド・メディシスのマルセイユ上陸』ピーテル・パウル・ルーベンス
『ラス・メニーナス』ディエゴ・ベラスケス
『マリー・アントワネット最後の肖像』ジャック=ルイ・ダヴィッド
『民衆を導く自由(の女神)』ウジェーヌ・ラクロア
『マドリッド、一八〇八年五月三日』フランシスコ・デ・ゴヤ

この中で、2枚取り上げます。あとは雑誌をみてください。

『レディ・ジェーン・グレイの処刑』
ポール・ドラローシュ

レディ・ジェーン・グレイの処刑

若き元女王の悲壮な決意
2人の父によって命運尽きたジェーン。覚悟を決めて運命を受け入れ、死につこうとしているけなげさは見る者の心を離しません。画家ドラローシュは、史実とは異なる白いドレスを着せ、屋外での処刑を室内に置き換えています。清楚で可憐な少女が、―瞬の後に血まみれの死体となって横たわるところまで想像させます。2017年「怖い絵展」で大反響を巻き起こした名画。

ルーベンスの光の演出ではありませんが、清楚で可憐な少女にスポットライトの光が当たっています。人々の視線は、少女に釘付けになります。白いドレスを着せることにより、一層効果が増します。少女の前の台、ここに首をのせるのです。その後は……

『マリー・アントワネット最後の肖像』
ジャック=ルイ・ダヴィッド

マリー・アントワネット最後の肖像

必要以上に貶められた王妃
「怖い絵」を書くきっかけになったのがこの絵。天才画家ダヴィッドは、どうすれば彼女をより醜く描けるか分かっていたはず。その悪意を怖いと感じたからです。ダヴィッドは、この後変節し、権力者におもねって出世していく。そのとき、かつて自分が貶めた元王妃が‘実は何物にも屈しない強さを持っていたことに気づいたかどうか。人問の浅ましさについても考えさせられます。

中野京子さんの「怖い絵」を書くきっかけになったのがこのスケッチだったとは驚き!

有名な馬に乗っているナポレオン『ベルナール峠からアルプスを越えるボナパルト』『ソクラテスの死』『マラーの死』など、学校の教科書に載っていたのを覚えていると思います。
ダヴィッドの名前は知らなくても、宗教画、神話画や歴史画をきっと何点かは見ていると思います。ナポレオンの歴史画などは、まるで映画のワンシーンを見ているような構図と写実です。
ところが、この線画のマリー・アントワネットはどうでしょう!中野京子さんの解説は、とても興味深い内容でした。
この他の8枚の絵画についての中野京子さんの解説は、一般的な教科書に載っていない視点で書かれています。昼休みにも、今週の『日経おとなのOFF』立ち読みしてみてください。

中野京子
北海道生まれ。早稲田大学大学院修士課程修了。オペラ、美術などについて多くのエッセイを執筆する。2007年に発表された『怖い絵』を端緒とする『怖い絵』シリーズが大ヒットとなる。新聞や雑誌に連載をもつほか、テレビの美術番組にも出演する。早稲田大学講師。『怖い絵』シリーズの刊行10周年を記念して2017年に開催された「怖い絵」展では、特別監修を務めた。
【ブログ】
中野京子の「花つむひとの部屋」
https://blog.goo.ne.jp/hanatumi2006
【連載】
「名画が語る西洋史」(月刊文藝春秋カラーページ)
「運命の絵」(オール読物)
「絵の中の物語」(エクラ)
「画家とモデル」(芸術新潮)
「新怖い絵next」(本の旅人)など。

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