ビッグコミックとは、35年間のお付き合い
ビッグコミックには、25〜60歳頃までお世話になった。だから、この新聞1ページ広告を見て、すぐコンビニに走り買ってきた。ささやかな私からのお祝いです。
それに、『ビッグコミック創刊50周年 特別限定セット』には、私も知らない創刊号の複刻版がカップリングされているから、買わずにはいられなかった。
ビッグコミック創刊号コンテンツ
今のビッグコミックは説明不要と思いますので、創刊号を簡単にご紹介します。サブタイトルには、「monthly for men」とあります。月刊だったんですね。
それにしても、今よりもはるかに斬新な内容です!
ビッグコミックの創刊号には、ベースにアングラ精神があります。各作家さんの初期漫画自体は、時代を感じますが、皆それぞれの持ち味が出ています。
以下、簡単に私の感想を書いてみます。
- 展覧怪『雑誌(ビッグ)も型破り、私(ボイン)も型破り』
デカパイだけが3D絵画のように、額縁からはみ出ていて、サラリーマン風の男の頭に当たっています。 - ビッグ社会時評『ラッシュの恐怖』
写真と漫画のコラージュ風で、今見てもかなり斬新です。解像度の低い粗いモノクロ画像が、かえってそのぶっ飛んだ世界観を表しています。 - 白土三平『野犬』
まだ『カムイ伝』のようにタッチが固まっていませんが、犬のリアルな動き—動物や自然への観察眼はこの頃からすでにあったのですね。 - アングラのウサギたち
現代の断面アングラ、アングラブームの底辺に賭ける青春ルポ
今のFRIDAY(フライデー)が歌舞伎町を取材した写真よりも、はるかに前衛的な紙面構成です。粗いモノクロ画像が雰囲気をさらに盛り上げています。 - カスタムへの招待状
基本車のカスタムなんですが、詳しい解説など一切なしで、真面目ともおふざけとも取れます。 - 手塚治虫「地球を呑む』第一回主題のための序章
タイトルもなしに19ぺージも進み、20ページ目に見開きでど〜んとタイトルが出てきます。構成が、斬新すぎます。今のTVドラマも結構進んでいて、10〜15分経ってからタイトルが出てくることもありますが。 - 石森章太郎『佐武と市捕物控』
創刊号時代から、「佐武と市」のタッチはすでにできています。今も知っている佐武と市です。 - コラム風『東京のトイレ』
トイレの落書きを取り上げています。目の付け所が、ホント前衛的でアングラです。 - 水木しげる『妖花アラウネ』
世界怪奇シリーズ、いわゆる「水木しげるワールド」です。 - 地下に流れる新しい波『アングラ情報』
(映画)なんでも撮ってやろうノクァングラ精神
(劇場)ヌードも落語もアングラ
(演劇)アングラ嫌いのアングラ劇団
コラム:アングラレコードなどなど。 - 海外問題小説『三月の野ウサギ』
Toyoko Iwasaki(岩崎とよこ)の挿絵が、切り絵風でけっこうエロイケです。 - さいとうプロ作品『捜し屋はげ鷹登場!!』
『ゴルゴ13』の原点みたいな作品です。
50年前のビッグコミック創刊の頃の世相
今から50年前というと、1968年です。フラワーチルドレン、アンダーグランド、サイケデリック、マリファナなどの言葉が出てきた頃です。
1967年の音楽シーンでは、ビートルズが『SGT.PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND』『MAGICAL MYSTERY TOUR』を出し、1968年にインドに行っています。
また、ピンク・フロイドは67年『The Piper At The Gates Of Dawn(夜明けの口笛吹き)』68年『A Saucerful Of Secrets(神秘)』、そして70年「原子心母」を出しています。だから、ピンク・フロイド1968年は、まだサイケデリックの色が強かった頃です。
終わりに
そんな60年代後半—アンダーグラウンド、サイケデリックの空気を、ビッグコミックはマンガの世界に持ち込んでいます。ターゲットは、明らかに大人の男です。また、会社もよくこんな編集を許したものだと思います。改めて、ビックコミックの精神を賞賛したくなります。