©️プレイボーイ
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こんなギリシャ神話をご存知ですか?
毎朝、太陽神アポロンの前を登っていく曙の女神エーオース(右上)
曙の女神エーオースは、トロイアの王子ティトノスを天から見ていて、一目惚れしました。
この青年と永遠に暮らしたいと思い、ゼウスにティトノスの「不死」を願いでました。ゼウスは許可します。
そして、数10年がたって、女神は致命的なミスを犯したことに気づきました。
それは、ティトノスが老いていくこと、「不老」ではなかったのです。
老いたティトノスは、干からびて小さくなってしまいました。女神は見ていられなくなり、彼をセミに変えました。
不老不死
可能ならば、あなたはどちらをお願いますか?
やはり「不老」だと思います。長生きしたって病気やヨボヨボじゃしょうがないです。
日本人男性の平均寿命79歳、健康寿命70歳。
人間は病気にならず不労になれるかもしれないという研究が発表されました。
科学的なところはよく分かりませんが、そんな薬が開発されるたら、ぜひ飲みたいですね。
東大教授・中西真「老化細胞を除去する薬を発見した!」GLS1阻害剤
『週刊プレイボーイ』と『週刊新潮』に掲載されていました。
『週刊新潮』の記事は少し難しく、科学的に詳細に語られています。
以下は『週刊プレイボーイ』インタビュー記事から抜粋しました。
「老化するのは仕方かない」と誰もが思っているはず。しかし、東大の中西真教授が老化細胞を除去する薬を発見した!
これで人間は近いうちに老化しなくなるかもしれない。つまり健康な体で生きられる期間が長くなるのだ!
その薬のメカニズムと老化の仕組みなどを解説してもらった。
中西=東京大学教授・中西真
中西 なぜ老化するのか? その明確な答えはありません。世界中の研究者が必死になって研究してもよくわからないのです。
ところが最近になって、組織や臓器に起きる小さな慢性の炎症が老化の原因につながっていることがわかりました。
ただ、それは私たちの"健康寿命(介護などの必要がなく自立した生活ができる期間)"を決めている老化であって、約120年という、"最大寿命(平均寿命)"を決めている生物学的老化のメカニズムではないんです。
ですから、「健康寿命を決めている老化」と、「最大寿命を決めている老化」は違うといつことを知っておいてください。そして、その両方があるので、加齢とともに死亡率が上がっていきます。20歳の人と80歳の人を比べると、死亡率は80歳の人のほうが高いですよね。
ところが、カメとワニは歳をとっても死亡率は変わらない。
中西 考えられることは、人間の健康寿命を決めている炎症細胞の蓄積がカメやワニにはあまりなく、一方で最大寿命を決めるメカニズムはある。だから、ほぼ死亡率が変わらずに生き続けることができると考えられています。
老化細胞はさまさまな刺激によって、タンパク質がうまく作れなくなった細胞です。細胞の中にはうまく作れなくなったタンパク質を分解する工場(リソソーム)があるのですが、たくさんたまると工場に穴が開いて強い酸性の物質が細胞の中に漏れていく。細胞全体が酸性になると細胞は死んでしまうので、老化細胞はアルカリ性の物質を作ってなんとか中和したい。
そこで「GLS1」という酵素を活性化して、アルカリ性のアンモニアを作る。すると、老化細胞は生き延びられるわけです。そして、その老化細胞が体の中にたくさん残っている状態が老化です。
問い 「GLS1」を薬で阻害して老化細胞を殺してしまえば、新しく細胞が作られて老化が起こらないと?
中西 そうです。酸性のままにしておけば、老化細胞は自然に死んでいきます。そして、若い細胞が増えていけば、組織や臓器の機能が保たれる、あるいは改善する。
問い 若返るということですね。
中西 老化を改善するということです。
マウスの老化細胞を除去すると30秒が100秒に
中西 わかりやすい例を挙げると、マウスも年を取ると筋力が弱くなります。高い鉄棒につかまっているとだんだん疲れて落ちてしまいますよね。マウスも棒につかまるんですが、若いマウスだとだいたい200秒くらいはつかまっています。一方で年を取ったマウスだと30秒くらいしかつかまれません。
しかし、老化細胞を除去すると100秒くらいまでつかまれるようになるんです。人間で換算すると60歳くらいの人が30歳くらいの筋力になったという感じです。
がんのメカニズム
中西 老化物質が蓄積すると、炎症性物質をたくさん出します。すると、その炎症性物質が周りの細胞の遺伝子を傷つきやすくなる。遺伝子が傷つくとがん化しやすくなる。
問い 老化細胞がなくなると?
中西 がん化しにくくなるので、がんの発症を抑えることができます。
(そんな薬)私も早く飲みたいですよ(笑)。今後10年の問に老化研究はすごく進むと思いますので、ぜひ、注目していただきたい分野だと思います。
詳しくはこちらの記事を©️『週刊新潮』GLS1阻害剤