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カツオの刺し身20cmほどの生カツオ、高い!

魚が高すぎて食べられなくなる?

この1/4のカツオの刺し身は、20cmほどです。2022年10月1日購入。

数年前なら500円以下で、半身の刺し身用生カツオ(20cm以上)が買えたと記憶しています。つまり、2.5倍(626÷250)ほど高くなっています。もっと大ぶりなカツオであれば、3倍ほど高くなっていることになります。

この10月で様々な商品が値上がりしました。値段が同じでも、量が減っている商品もあります。

魚に話を戻すと、なぜこんなに高くなってきたのでしょうか?

その理由を知るには、SPAの連載「魚が食卓から消える日」が参考になります。今までに5回掲載されています。(1回2ページ)

【回転寿司・危急存亡】魚が食卓から消える日

筆者は、小平桃郎氏で水産アナリストです。
1979年生まれ。大学卒業後、テレビADを経て、アルゼンチンのイカ釣り漁船の会社で日本の水産会社との交渉窓口を担当されていました。2005年に帰国し、輸入商社、大手水産会社を経て、2021年水産貿易商社タンゴネロを設立されています。

魚が食卓から消える日©️『SPA』魚が食卓から消える日

「魚が食卓から消える日」5回の連載から要点を取り上げてみます。

  1. 食料価格の高騰で帰路に立つ回転寿司チェーン
    サーモンだけでなく鮭ハラスも100円皿では提供できなくなる⁉︎
  2. 「7つの海を駆けめぐる」海外産が主流の寿司ネタ
    運賃節約のため赤海老の東部は水揚げ国で取ってから輸出される
  3. 寿司ネタ供給がピンチ⁉︎ 海外の加工場での異変
    日本向け水酸化工場は品質管理が厳しすぎて労働者が集まらない
  4. 国内の冷凍庫が満杯に! 年末年始の食材が危ない
    冷凍庫のキャパ不足で、輸入水産物が上陸できない事態に⁉︎
  5. 弁当や定食に欠かせないサバを巡る危機的状況
    日本はサステナブルな漁業について考えないといけない

1. 食料価格の高騰で帰路に立つ回転寿司チェーン

10月から原材料の高騰から、寿司各店は値上げしました。

  1. スシロー 一皿100円→110円
  2. くら寿司 110円皿を減らして220円皿を増やす方針
  3. はま寿司 「平日寿司一皿90円」を終了

6月の消費者物価指数の「食料」は、前年同月比4.1%アップ。「魚」はなんと14.8%アップしています。円安や原油価格の高騰が原因の一因ですが、魚の場合はそれだけではありません。漁獲量の減少、国際的な争奪戦もあります。

サーモンだけでなく鮭ハラスも100円皿では提供できなくなる⁉︎
サーモンの輸入は、次の3ルートになります。

  1. 生のサーモンを空輸でアジア各地にある水産加工場に運び、寿司ネタにカットして凍結。船で日本へ(コスト高)
  2. 生産地の加工工場でフィレ(3枚下ろし+骨取り)にして凍結し日本へ。お店で切り分ける(店舗の手間)
  3. 凍結したサーモンを海上輸送で加工工場へ。解凍して寿司ネタにし、再凍結し日本へ(コスト低いが、品質悪い)

サーモンはノルウェーとチリが2大供給地。しかしノルウェー産のサーモンは、ウクライナ戦争でロシア上空を空輸できなくなりました。迂回ルートでは、輸送コストが上がってしまったといいます。

サーモンの代替品のチリ産トラウトでは、1年前はキロ2,000円前後だったのですが、現在は2,800〜3,000円。国産のトラウトだとキロ3,500円ほどになります。これを寿司ネタ(一般的な8g)にすると、原材料費は1貫22円以上、一皿2貫で45円以上になります。一皿100円では、諸経費を考えると厳しくなります。

とろサーモンとして販売される鮭ハラスは、スモークサーモンを生産される時に切り落とされる部分でした。これも2年前より40%前後の値上がりで、キロ2,300〜2,500円。ですからサーモンの代わりにはならなくなってきました。

2.「7つの海を駆けめぐる」海外産が主流の寿司ネタ

回転寿司のネタは、私たちの口に入るまで「7つの海を駆けめぐる」と言われているほど。そして、その輸送費はここ1〜2年で30%以上アップしています。

運賃節約のため赤エビの頭部は水揚げ国で取ってから輸出される

例えば、有頭赤エビの場合、水揚げ地で頭がとられ、中国、ベトナム、タイ、インドネシアの加工地に送られ、剥き身にして日本に入ってきます。

「水揚げ地→日本」ではなく、「水揚げ地→数カ国→日本」で輸送費や冷凍保管費・電気代がアップしています。赤エビ自体も、キロ1,000円から1,400円ほどに。傷んだネタなど考えると、1尾のコストが50円以上に。ですから、1貫100円では提供できなくなっています。

近海でとれた魚を海外で加工する理由

アジア各国の人件費が、日本の数分の1だったからです。回転寿司の「国産マサバ」とあるシメサバは、中国やタイで加工していることもあります。

しかし、現地の人手不足や賃金上昇などにより、加工コストが上がってきています。一度海外に移転した生産体制を日本に戻すのは容易なことではありません。

国内で完結しているネタは、ホタテ、アジ、養殖のハマチ、カンパチ、タイなどです。ますます、魚代は高騰していきます。

週刊現代参考©️『週刊現代』10/15・22号より

3. 寿司ネタ供給がピンチ⁉︎ 海外の加工場での異変

農林水産省「漁業センサス」によると、いかに賃金が安い海外に頼っていたかが分かります。
国内水産加工場は1988年・13,764→2018年・6,444
水産食用加工品1988年・240万t→2018年・160万t

しかし、東南アジアの平均賃金が1.5〜2倍に、中国では3倍にアップしています。しかも、寿司ネタの加工場は衛生面や鮮度面での管理が厳格です。人手不足などから、日本向け専業からの脱却が進んでいます。

日本向け水酸化工場は品質管理が厳しすぎて労働者が集まらない状況です。

また、「日本を相手に商売を続けてきた」ノウハウがありますから、信頼が出てきて「客を選べる」状況になってきたのです。特に中国では国内市場が大きく成長し、原料の調達から販売まで請け負い、日本からの注文を受けてくれないこともあります。

そのため、2021年の1年間で生食用の甘エビなどは、相場が3倍ほどに高騰してしまいました。特にシャリの上に2尾ある甘エビを回転寿司チェーン店ではお目にかかれなくなってきています。今度回転寿司に行かれましたら、甘エビが回っているか確認してみてください。

回転寿司で回っているネタを見れば魚の市場がわかる、時代かもしれません。

「魚が食卓から消える日」(以下、追加してきます)

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4. 国内の冷凍庫が満杯に! 年末年始の食材が危ない

冷凍庫のキャパ不足で、輸入水産物が上陸できない事態に⁉︎

5. 弁当や定食に欠かせないサバを巡る危機的状況

日本はサステナブルな漁業について考えないといけない