20200506読売新聞(2020年5月8日・読売新聞朝刊第一面)

新型コロナウイルスの治療薬「レムデシビル」7日承認

米国ギリアド・サイエンシズ社は全世界で約14万人分(患者1人に10日間役与する場合)の供給を表明している。厚労省は病院ごとの必要量を把握し、重症者向けに優先的に分配する方針だ。同社による供給は無償の予定。公的医療保険の適用外となる。厚労省は入院費など、保険診療となる部分との併用を認める検討をしている。

レムデシビルはエボラ出血熱の治療のために開発されたが、新型コロナウイルスの増殖を抑える働きが期待されている。米国での臨床試験では、患者の回復までの時間を約3割短縮する効果が確認された。一方、腎機能や肝機能の低下などの副作用が出る可能性がある。

また安倍首相は、主に軽症者向けに新型インフルエンザ治療薬の「アビガン」を新型コロナウイルス治療薬として、月内に承認することを目指す考えを示している。
(中略)
新型コロナウイルスに対抗する治療薬の本格的な使用に向け、閉塞(へいそく)感のあった医療現場に一筋の光明が見えてきた。
歓迎すべき動きであるが、レムデシビルは米国での臨床試験で一定の効果はみられた一方で死亡率の抑制効果については結論づけることはできなかった。専門家から「特効薬として、期待し過ぎてはいけない」との声も出ている。(科学部 木村達矢)

医薬品医療機器法の「特例承認」と呼ばれる制度を使って、「レムデシビル」が申請からわずか3日でスピード承認されました。治験のデータなどをPMDAが詳しく調べており、7日に開かれた厚労省の薬事・食品衛生審議会での審査を経て、正式に承認されました。

【PMDA】医薬品・医療機器・再生医療等製品の承認審査・安全対策・健康被害救済の3つの業務を行う組織

新型コロナウイルスの治療薬「レムデシビル」(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

「レムデシビル」の効果

「レムデシビル」とは、アメリカに本社がある製薬大手「ギリアド・サイエンシズ」がエボラ出血熱の治療薬として開発を進めてきた医薬品です。

「レムデシビル」の臨床試験(治験)では、特に発症から10日以内の患者で、呼吸の改善や解熱などの治療効果が見られたといいます。

日本の「アビガン」は、すでに新型コロナウイルスの患者3000人近くを対象とした観察研究などが行われています。有効性が確認されれば今月中の承認を目指しているということです。

通常、1つの薬が市販されるまでには、3つの段階をふみ、数年から10年単位でかかる場合があります。治験データをそろえて申請しても、承認までは通常1年ほどかかってしまいます。

  1. 基礎研究
    薬の候補となる化合物を作ってその可能性を調べたりする
  2. 非臨床研究
    ウサギやネズミなどの動物で安全性を調べる
  3. 治験
    ヒトへの効果や安全性を調べる

では今回は、

なぜ申請からたったの3日で承認されたのでしょうか?

【特例承認の2つの条件】

  1. 国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病が広がるのを防ぐために緊急に使用されることが必要な医薬品で、当該医薬品の使用以外に適当な方法がないこと。
  2. その用途に関し、日本と同等の水準の承認制度を持つ外国で販売などが認められた医薬品であること。(「レムデシビル」は、5月1日に米食品医薬品局(FDA)が緊急使用を認めました)

新型コロナウィルスの猛威は、この2つハードルを簡単に超えさせたともいうべきでしょうか。これまでに新型インフルエンザのワクチン2品目に適用された実績があり、「レムデシビル」で3例目となります。

終わりに

私のように67歳ともなれば、新型コロナウイルスにかかれば「死」を覚悟しななければなりません。だから、「レムデシビル」や「アビガン」などの治験データはもちろん重要ですが、多少のリスクはあっても重症にならない方が最重要課題です。