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淀ちゃん、死んでどうなった?
淀ちゃん、紀伊水道沖の水深1000メートルへ
2023年1月19日(木)に、淀ちゃんは約30トンの重りをつけられ、紀伊水道沖の水深1000メートル以上に達する海域に投下されました。そんな淀ちゃんの死骸には、深海生物が多く集まります。
淀ちゃんの死骸は"大宴会"の食べ物に!
「栄養の少ない深海生態系にとって、15メートル級のクジラは、2000年分の食料が空から降ってくるようなものです」
と、海洋研究開発機構で深海生物を研究する藤原義弘さん。さらにこう語っています。
「深海生物が、どっと集まり、"大宴会"が今も続いているでしょう」
【淀ちゃんの死骸が骨になっていくプロセス】
- 腐肉食期
深海性のサメやコンゴウアナゴなどが集まり、1年ほどで肉は全て食い尽くされる - 骨侵食期
ホネクイハナムシの大群が骨から栄養素を摂取する - 化学合成期
クジラの骨や堆積物から発生する硫化水素や酸素を吸収する深海生物(ハオリムシなど)が生息地を広げる鍵になっているのではないか(仮説)。
このように、深海に沈んだ淀ちゃんは悠久の時の中、生態系の一部となって新たな世界を海の中に作り出していきます。
なぜ、淀ちゃんは浅瀬に迷い込んだのか?
体長約15メートルの巨大なクジラ(大人)が淀川河口のような浅瀬に迷い込むのは「極めて稀なケース」だといいます。
そう語るのは、田島木綿子(ゆうこ)さん。国立科学博物館の研究員です。
「本来マッコウクジラは2000メートルの深海を泳ぎ、イカなどを好物にしている生き物です。子供のクジラが母親やエサを探して迷子になることはあっても、あのような大人のクジラがエサを追って浅い河口にまで迷い込むのはあり得ないことです」
(『週刊ポスト』2023.2.24号参照)
このように、クジラの淀ちゃんは死んでからも、深海の生物の役に立っていきます。
ところで、クジラよりもはるかに大きい怪獣の死骸の処理は、どうなるのでしょうか?
たとえば、ウルトラマンに倒された怪獣の死骸を放っておくと、どうなるのでしょうか? そんな疑問を面白おかしく映画にしたのが『大怪獣のあとしまつ』です。
映画『大怪獣のあとしまつ』
2022年2月に公開された『大怪獣のあとしまつ』。日本で死んだ大怪獣に全世界が注目しています。死骸ですから、腐ってガスも体内に充満していきます。もし爆発でもしたら、近隣の地域が汚染され、安全が脅かされます。
そんな危機に内閣総理大臣・西大立目 完(西田敏行)の官邸では、自衛隊や各大臣が勢力争いをコミカルに展開します。死骸処理の極秘ミッションを任されたのが、首相直轄組織・特務隊の隊員帯刀アラタ(山田涼介)です。
このミッションに関わってきたのが環境大臣・蓮佛 紗百合(ふせ えり)の秘書官で、アラタの元恋人の雨音ユキノ(土屋太鳳)。
総理秘書官(濱田 岳)はじめ、自分の利益のために画策する国防大臣(岩松 了)・外務大臣(嶋田久作)・財務大臣(笹野高史)・厚生労働大臣(MRGUMI)や国防軍(田中要次)とその大佐(菊池凛子)たち。それぞれの人物が、クセのある立ち回りを演じます。そのやり取りはまさに喜劇で、現実の総理官邸もこんなものかも? と思ってしまいます。
タイトルの『大怪獣のあとしまつ』ですが、最後の最後にあっさり解決されてしまいます。肝心の映画の主題はなんだったの、と少し疑問が残りました。そんなところが、Amazonのレビューでも多く批判されていました(★★2/5)。
でも、とても面白いドタバタです。特撮もよくできていました。
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淀ちゃん、終わりに
2023年1月9日(月)、マッコウクジラの「淀ちゃん」が大阪湾の淀川河口に迷いこみました。淀ちゃんは4日後に死んでしまいましたが、新年早々うれしくも悲しいニュースでした。
そして、1月19日(木)に、淀ちゃんは約30トンの重りをつけられ、紀伊水道沖の水深1000メートル以上に達する海域に投下されました。
そんなクジラの淀ちゃんの死骸が、深海でどうなっていくのか? 『週刊ポスト』2023.2.24号に出ていました。深海で、いろいろ役に立つのがわかりました。
また、大きな生物が死んだ場合、その処理はどうするのか、考えると、2022年2月に公開された『大怪獣のあとしまつ』が思い出されました。この映画を2022年12月に Amazon Prime Video で見たばかりだったので、不思議な縁を感じます。