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「ナナフシ」七つの節を持つ木の枝のような虫

日本の飛べない昆虫、「ナナフシ」の謎が解明されました。

神戸大学と福島大学の研究者たちが、鳥によるナナフシの長距離移動の証拠を発見し、これに驚きの事実が明らかになりました。これまでの捉え方を覆す発見です。

それは、「鳥に食べられると昆虫は生存の可能性が低い!」という考察を考え直させたということです。

ナナフシは鳥により683kmも移動!

飛べない昆虫の「ナナフシ」に関する研究で、鳥による移動の証拠が見つかったということがわかりました。この研究は、神戸大学大学院理学研究科の末次健司教授(兼 神戸大学高等学術研究院卓越教授)と福島大学共生システム理工学類の兼子伸吾准教授を含む研究チームによって行われました。

以前の実験で、ナナフシの卵が鳥に食べられても、一部の卵が無事に排泄されて孵化することが明らかにされていました。

しかし、この現象は稀であり、自然環境での影響は不明でした。そこで、研究チームは日本各地からナナフシを集め、遺伝情報を詳しく調べ、実際に長距離移動が起こっている可能性を調査しました。

そして、683km離れた場所で同じミトコンドリアの遺伝子配列が見つかるなど、鳥による長距離移動を考えないと説明が難しいケースが多く発見されました。

これまで、鳥と昆虫は捕食者と被食者の関係にあると考えられており、鳥に食べられると昆虫は生存の可能性が低いとされていました。

しかし、以前の実験結果と今回の研究から、飛べないナナフシのような昆虫は、鳥に食べられることで逆に長距離移動を達成できる可能性が示唆されました。

ナナフシ「擬態の達人」の生態と特徴

ナナフシの最も注目すべき特徴は、外敵から身を守るために木の枝に擬態していることです。

ナナフシは攻撃的な能力や速さを持たない代わりに、その細い体を木の枝や葉のように見せかけ、敵をだまして逃げるのです。

そのため、森林で木の枝のように見えたものが実はナナフシだったということがよくあります。

体長が数センチから15センチ以上

擬態の達人、ナナフシ。これは、ナナフシ目に属する昆虫で、葉っぱを食べる生き物です。ただし、ナナフシという名前は、特定の種を指すのではなく、ナナフシ目の仲間全体を指します。

日本には、体長が数センチから15センチ以上になる、おおよそ15~20種類ほどのナナフシが生息していると言われています。

ナナフシ仲間は秋から冬に卵を産み、春に孵化します。非常に細かい幼虫は、森の中で餌を探し歩きます。主に食べるのは植物の葉で、さくら、こなら、けやき、はら、くずなどです。幼虫は新しい緑の柔らかい葉を食べて成長し、成虫になるまでに5~6回脱皮します。

ナナフシモドキは「モドキ」じゃない!

日本で最も一般的なナナフシ仲間は、「ナナフシモドキ」と呼ばれる種です。モドキという名前から、「本物のナナフシではないのか?」と考えるかもしれませんが、実際にはナナフシモドキはナナフシ目の中で最も典型的なナナフシです。

「ナナフシ」の名前の意味

ナナフシの名前は、「七つの節を持つ木の枝のような虫」という意味で、この名前が短縮されてナナフシと呼ばれるようになりました。

ナナフシは、里山などでよく見かけます。体長は7~10センチで、緑色または褐色の体を持っています。この体色は生まれつきで、場所によって変化することはありません。

ナナフシのトリビア

ナナフシ

葉の中央にくれば、葉脈に見えます!

ナナフシには翼がないので飛ぶことができません。そのため、木の枝に擬態するのですが、葉っぱにもなりきることがあります。

その細い体が、葉の中央にじっとしているかぎり、ナナフシの身体は葉の脈のように見えるのです。

まとめ

ナナフシは飛べない昆虫ながら、鳥による移動を通じて長距離移動を実現する生物として、その驚くべき適応力が浮き彫りになりました。

この研究によって、昆虫と捕食者の関係に新たな視点がもたらされ、生態学や生物学における研究分野が拡がりました。

ナナフシの独自の擬態能力と生態に関する理解は、自然界の生態系についての新しい洞察を提供し、私たちが生物多様性と生態系の複雑性を理解するのに貢献しています。